(メルマガ 2020.06.22) 中国製品品質監督抜き取り検査管理暫定弁法の解説記事

PS Farmメールマガジン(2020年6月22日配信)

 

■ 《製品品質監督抜き取り検査管理暫定弁法》

中国の品質雑誌「品質と認証」に2020年1月1日から実施されている《製品品質監督抜き取り検査管理暫定弁法》の解説記事が掲載されていましたので弊社で重要と思われる事項をまとめました。
参考にご紹介いたします。

「品質と認証」の記事において《製品品質監督抜き取り検査管理暫定弁法》の解説前に検査実施の根拠となっている≪中華人民共和国製品品質法≫((以後「製品品質法」と略す)の関係条項の説明がされています。

1.≪製品品質法≫ の監督検査制度に関する規定
≪製品品質法≫第15条の要点
人の健康及び身体、財産に危害を及ぼす可能性がある製品、人々の生活、経済に深く関わる工業製品、消費者、企業団体から問題が提起された製品に対し抜き取り検査を実施する。
検査サンプルは市場または企業の倉庫の在庫から無作為に抜き取る。
県レベル以上の地方製品品質監督部門も行政区域内の監督抜き取り検査を計画することができる。
抜き取りサンプル数は合法的な数量を超えてはならず、検査費用を徴収してもいけない。

≪製品品質法≫第17条の要点
検査不合格になった場合は、生産者、販売者に対し期限付きで是正を命じる。期限までに是正措置を講じない場合は、公表する。
公表後の再検査で再び不合格となった場合は、業務停止を命じ期限付きで改善を命じる。改善後の再検査で不合格の場合は、営業許可証を取り消す。

ここからが≪製品品質監督抜き取り検査管理暫定弁法≫(以後「検査管理暫定弁法」又は「弁法」と略する)の解説となります。

≪検査管理暫定弁法≫ 制定の背景
各部門間の規定の整合性を図り、生産分野と流通分野、オンラインとオフラインの検査についての融合を図る必要性。
同時に、抜き取り作業と検査業務の切り離し、検査全工程の映像化による監視等による監督検査の規範性、公正性をより高める。
この他にも電子商取引等の新興分野でのサンプル抜き取り手順に関する規定も新たに設ける。

≪検査管理暫定弁法≫の目的と位置づけ
01.製品品質監督管理を社会の発展と変遷に合った、時代に即したものとする。
02.消費者の合法的権益の保護を常に主たる目的とする。
03.生産分野と流通分野で必要となる重点項目をそれぞれ分けて設定する。流通分野では主に消費者の合法的権益の保護に重点を置き、生産分野では消費者の合法的権益の保護に加えて製品品質レベルの向上も重点項目に据える。

≪製品品質監督抜き取り検査管理暫定弁法≫の考え方と原則
合法性、合規性の原則
≪中華人民共和国立法法≫、≪行政処罰法≫、≪製品品質法≫、≪消費者権益保護法≫に基づく。

科学性、合理性の原則
(PSF省略)

2.≪弁法≫ 主な内容
■≪検査管理暫定弁法≫は全8章56条から構成されている。
■第1章 監督抜き取り検査の定義と範囲、抜き取り作業と検査作業の切り離し、対象となる製品、抜き取り検査費用、市場主体の協力と義務、重複検査の禁止、抜き取り検査の根拠、情報公開等について規定。
■第2章 抜き取り検査計画の策定方法、抜き取り検査方案の内容、機関の選定方式などついて規定する。
■第3章 抜き取り作業と検査作業の切り離しとその具体的な方法、作業記録の作成、サンプル抜き取り作業員、サンプル抜き取りの実施方法、サンプルの抜き取り、サンプルの入手方法、開封防止に対する対策、サンプル抜き取りに関する書類、サンプルを抜き取れなかった場合、サンプルの搬送、監督抜き取り検査拒否の確認、企業規格の提出等について主に規定する。
■第4章 サンプルの受け取り、サンプル確認検査、検査手順、検査報告書の発行、検査結果の送付、サンプルの処分等を主に規定する。
■第5章 結果通知、異議の申し立て、異議の処理、再検査について規定する。
■第6章 結果の公表、不合格品の処分、管轄区内からの製品撤去、生産者の是正、是正後の再検査、期限切れ改善命令、品質分析会の招集、同レベル関係部門への通達、通達の転送、情報公開、信用失墜処分、抜き取り検査データの分析等について主に規定する。
■第7章 被検者(生産、販売者)および検査機関に対する法的責任について主に規定する。
■第8章 付則(書類の保管期間、解釈権、用語説明、特殊事項に関する説明、施行日を主に規定する。)

3.≪弁法≫ 新しい変化
さまざまな点で製品品質監督抜き取り検査制度が強化された。
抜き取りと検査作業の切り離し、サンプルの抜き取りと検査手順の細分化、サンプル抜き取り機関と検査機関に対する禁止事項と義務について明記された。
また再検査で不合格となった生産者、販売者に対する具体的な行政処分が示された。

01 監督抜き取り検査権行使の規範化
監督抜き取り検査制度改革の成果を確実に実行に移すため、監督抜き取り検査の恣意性を排除して一貫性を保ち、監督抜き取り検査権行使について規範化した。

1.サンプル抜き取り機関と検査機関の選定方法を改定。
2.サンプルを抜き取られる生産者、販売者を無作為に抽出し、サンプル抜き取り作業員も無作為に抽出する体制を構築した。
3.「抜き取り検査作業の切り離し」体制を構築することによりサンプルを抜き取った作業員が検査作業を担当しない仕組みを整えた。
4.すべての作業工程の追跡能力を強化するため、現場でのサンプル抜き取り、インターネットでのサンプル抜き取り、サンプルの受け入れ、再検査等の各重要ポイントにおいて、写真または映像等で証拠を残すことを定めた。

02 サンプル入手方法の改定
1.サンプルを検査サンプルと予備サンプルに分け、検査サンプルはすべて費用を支払って購入することとし、インターネットでサンプルを購入する際は、検査サンプルと予備サンプルのいずれも購入することを定めた。
2.破壊性試験を行っていないサンプルで且つ品質に実質的な影響が及ばないサンプルについては、購入費用を支払わなくともよいと定めた。
3.予備サンプルはサンプルを抜き取られる生産者、販売者が無償で提供することとし、再検査を行う際に予備サンプルの費用を支払うこととした。

03 抜き取り検査の重複に対する制限の厳格化
1.同一市場監督管理部門が6か月以内に同一生産者の同一規格で生産する同一商標、同一モデル/定格の製品に対して、二回以上監督抜き取り検査を実施することを禁じる規定を設けた。
2.6か月以内に上級市場監督管理部門から同一製品の監督抜き取り検査を受けたことを証明できる場合は、下級市場監督管理部門は重複して抜き取り検査を行ってはならない。

04 インターネットサンプル抜き取り工程の追加
インターネットでのサンプル抜き取りに対して別途に規定を設けた。

1.監督管理の範囲を明確する。検査部門の職責範囲を当行政区域内の電子商取引事業者が販売する製品と、当行政区域において生産者が生産している製品に限定した。
2.監督抜き取り検査を逃れるようとするインターネット事業者を出来る限り減らすため、消費者名義でサンプル購入できることを明示し、購入するサンプルには検査サンプルと予備サンプルを含めるよう要求した。
3.インターネットのサンプル購入過程において、詳細な記録を残すよう定めた。
4.現場でのサンプル抜き取りとは別のサンプル封印の仕方、サンプル抜き取り書類の書き方、送付方法についての必要事項を明記した。
5.インターネット抜き取り検査報告書は、書面で電子商取引事業者に通知することとし、プラットフォーム事業者の管理意識を高めるよう要求した。

05 再検査時の検査機関変更に関する要求
再検査は必ず検査機関を変えて行うよう定めた。

06 法的責任条項の調整
法的責任に関する条項に対して大幅な調整が行われた。
1.上位法またはその他の法規において既に規定されているものについては、≪弁法≫で贅言を要しない。
2.法的責任を問われる主体を分けて、それぞれの主体に適用される法的責任を三つの条項にまとめて、煩雑だった項目を取り除いて整理した。

07 一部条項の補足修正
1.生産、流通において統一した抜き取り検査を実施するために、企業のサンプル確認プロセスと結果確認プロセスを一本化し、作業効率を上げる。
2.検査機関の資質審査プロセスにおいて専門性と指向性をより重視し、責任の所在を検査機関に問えるよう調整した。
3.異議申し立てによる再検査手順を整理、細分化して、実行可能性を高めた。
4.事後処理の作業工程と要求を簡素化し、企業による原因究明方法を削除し、是正方案を定めて、是正期間を60日とした。

08 抜き取り検査作業員に関する要求の一本化
第15条に「市場監管部門は自らサンプルを抜き取るか、或いはサンプル抜き取り機関にサンプルの抜き取りを委託しなければならない」と規定した。また第5条の市、県レベル市場監管部門の職責に、「上級市場監管部門に協力してサンプル抜き取り作業を円滑に行う」を追加した。これにより監督抜き取り検査を計画する部門が地方市場監管部門のサンプル抜き取りを計画できるようになっただけでなく、検査機関にサンプル抜き取りを委託することもできるようになり実際の作業に即した内容となった。

4.≪弁法≫ に関する問題
■≪弁法≫の監督抜き取り検査計画に関する規定
(PSF省略)

■抜き取り検査計画の制定方法
毎年年末までに総局が次年度の国家監督抜き取り検査計画を制定するとした。計画を制定するための情報源は、社会一般からのオンラインを利用した公募、リスク監視情報システム、消費者からのクレーム、検査履歴の結果とし、更に関連部門及び委員会、省レベル市場監管部門、業界団体、検査機関等から広く意見を求めることとした。抜き取り検査で最も重要な点は、人の健康と身体及び財産の安全に関連する製品、人々の生活に影響を与える重要工業製品、消費者や企業から品質問題が提起された製品を抜き取って検査することである。抜き取る製品の種類と数量は、財政予算、現行規格の状況、及び検査機関の検査能力等に照らし合わせて決定する。
各地方市場監管局は職権の範囲内で、それぞれの行政区域内の監督抜き取り検査計画を制定する。
突発的な事件等が発生した場合には、計画以外にも特別抜き取り検査を計画して実施することができる。

■抜き取り検査方案と実施細則の違い
抜き取り実施細則には、サンプルの抜き取り方法、検査項目、検査方法、判定基準等の内容が含まれており、監督抜き取り検査作業におけるサンプル抜き取り、検査、異議申し立てに対する技術面での根拠がまとめられている。実施細則の内容は前もって公表しなければならない。
抜き取り検査方案は、抜き取り検査作業を計画、実施する際の手順書であり、その内容には抜き取る製品の範囲、作業の分担、進度等が含まれている。監督抜き取り検査の特徴は抜き打ちで行うことにあり、被検者である生産者や販売者が検査を免れるのを防ぐためにも、検査方案の内容は事前に公開してはならない。

■インターネットサンプル抜き取りに関する条項の設置
インターネットで販売される製品の抜き取り検査の主体が明確になっており、監督抜き取り検査部門の職責の範囲が当行政区域内の電子商取引事業者が販売する製品と、電子商取引事業者が販売する製品で当行政区域において生産者が生産している製品に限定されている。

■生産者、販売者抜き取り検査逃れの防止方法
≪弁法≫には、「生産者、販売者は監督管理に協力し、事実に基づいた資料と情報を提出することとし、如何なる方法であっても監督管理を妨害、拒絶してはならない。」と明記されている。生産者、販売者が抜き取るのを妨害、拒絶した場合、或いはサンプルの抜き取りに協力しなかった場合等については、処罰しなければならないと規定している。

■重複抜き取り検査防止方法
≪弁法≫には最初に同一製品の定義として、「同一生産者が同一の規格に基づき生産する同一商標、同一モデル名/定格の製品とする」と定めて、抜き取り検査の重複を避けるための基礎としている。

■サンプル購入費用の考え方
生産、流通分野では何れも検査サンプルは費用を支払って購入する。現場で予備サンプルを抜き取る際は、先ずは費用を支払わずにサンプルを抜き取り、インターネットでは予備サンプルを抜き取るのと同時に費用も支払う。再検査で予備サンプルを開封して使用する際、予備サンプルの費用を支払う。この政策は次の点に配慮して設計されている。

■検査請負機関の選定方式
(PSF省略)

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